発達障害者の仕事探しについて(主に昭和から平成初期)

 発達障害持ちだと仕事をする能力が著しく欠けていたりするんですよね。そうなると最初の会社なりアルバイトなりを短期間で首になってしまったり、パワハラ上司にいじめられて自主退職したりすることが多い。その場合周囲は「こいつは無能だから簡単な仕事ならできるだろう」と考える人、「スパルタな職場で厳しく鍛えればしゃんとして働くようになるだろう」と思う人、だいたい二手に分かれます。

 決して「この人の能力は凹凸があるので凸の部分を伸ばせる仕事に就かせよう」とは考えないですね。戦略的には考えず、省エネルギー的考え方で一般の就職市場に押し込もうとする。その場合選ばれるのは世間的に給料が安くて誰でもできると考えられる職場です。介護とか小売りとか。

 でもおそらくそれらの職業と発達特性は合わない所があるのでしょう。私も介護職にいたのですが常識では考えられないミスの連続で首になってしまいました。具体的に書けないのですが、差しさわりのない範囲で、物忘れとか物無くしが酷くて、あと状況の予想ができないのですね。想像力の欠如です。知的障害者が自由に出入りできる部屋に別の入所者の大事な物を置きっぱなしにしてたらどうなるのかが、想像できなかった。そこでトラブルになりました。

 言い方は悪いのですが俗にいう底辺職も務まらなかった場合、周囲は「こいつはどうしようもない無能だな」と考えるみたいです。それでますます誰でもできそうな仕事に送り込まれたりします。例えば工場とか新聞配達ですとか。
でも不器用すぎたりマルチタスクができないとそこで詰みます。最終的に何もやれない引きこもりの誕生です。

 まず、現状の就職の仕組みだとコミュニケーション能力がないと面接に受からないから厳しいんですよね。よく言われることで「発達障害者はプログラミングをやればいい」という意見がありますが、私みたいに算数に関する能力が著しく欠けているとどうしようもないです。

 特に中高年で発達障害が見つかった層は厳しいですね。その年齢からの療育とかSSTなんて無理ですから。頭の方も柔軟性が失われていますし育て直しは無理です。

 「何を甘えているんだ。努力が足りない」という声が聞こえてきそうです。ただ自分の能力の凸を知ることができない。WAISの結果だけ渡されても何もわからない。凸を仕事に変える仕組みみたいなものができればいいんですけどね。アドバイザーが欲しい。

 世界でそうなのかもしれないのですが、脳の機能の差がなぜか性格や甘えの問題にされてしまうのは何故なのでしょうか。たぶん、発達障害者のコミュニケーションが特殊すぎて、ビジネスマナーから外れていると捉えられてしまうのかなと思います。ある発達障害者が「相手の眼に視線を合わせると話の内容が頭に入らない」と発言していました。

 人間というものは誰も彼も同じ物で標準化された常識を元に活動しているという、人間に対する信頼感みたいな物が人類の間にはあって、それをかき乱す存在が発達障害者の行動だとすると悲しくなりますね。そこになぜか人間性というものが絡んでくるのです。口を開けば皮肉ばかり言う人。おそらく脳の特性でその手の発言の着想が優位であり衝動性を伴って言わずにおれなくなると思うのですが。だいたい性格が悪いの一言で片づけられてしまうんですよね。

 身体障害者が社会に受け入れられるまで長い年月を必要とした。それがわが身に降りかかってくるのかなという気もします。TV番組などで取り上げられていますが、現場がどう対応するかですね。

 これが一番大変なのですが「障害のせいでできない事」というのが普通の人から見ると「障害のせいにして甘えていて努力をしない」と受け取られることが多い。これに関しては発達障害者の中でも意見が分かれて「障害があるそれでも努力は欠かさない」という考えが主流になっています(または工夫)。ただその努力や工夫のできない人もいるのが、知られていないみたいです。発達障害者間の能力格差でしょうか。